Q:聖書に「泥を盲人の目に塗って言われた。「行って、シロアムの池で洗いなさい。」そこで、彼は行って、洗った。すると、見えるようになった。」と書いてありますが本当ですか(ヨハネの福音書9章1-7節)。
→確かにあり得ない嘘のようなことが書かれていると思われますね。しかしネットで調べれば分かることですが、北里大学名誉特任教授の大隈先生がどのような経緯で2015ノーベル医学生理学賞を頂いたかご存じですか。大隈先生は動物(家畜など土に触れる動物)の治療に役立つ物質が土の中にあるに違いないと考えて色々の場所の土を調査してそれを発見し、Evelnectineとして1979年に発表しました。そうしてこれが抗寄生虫薬として米国メルク社からIbelmectineとして1981年に発売され、2年後にはトップセラー薬となりました。またこの薬が熱帯地方の風土病の視覚喪失(ブヨ蚊に刺された時に侵入したフィラリアによる視覚障害)などを防ぐ効果の有ることがわかり、メルク社はアフリカや南アメリカの2億人の人々に抗寄生虫薬Merctizanとして無料で配布することを1987 年より継続しています。これらのことがノーベル財団に評価されてDr. Wiliam Chanbel in USA and Dr. To Yuyu in China と一緒に受賞しました。つまり、この様な機序で失った視覚を取り戻した人が二千年前に居たとするならば、聖書の中に不思議な真実の出来事として書き留められたことは想像に難く有りませんね。
Q:発汗にデトックス効果が無いとの発表が為されていますが本当なのでしょうか。
→この論文では有害な代謝産物が汗として排泄される割合が、大量に汗をかいたとしても0.04%位なので汗腺がこれらの物質を排泄する器官であるとは云えないと述べています。
しかし、生理学的には汗には0.15%のカリウムが含まれており、血漿中のカリウムを8.8倍に濃縮して排泄していることが知られています。仮に、短時間に170 mlの汗をかいた場合には0.25 gのカリウムが血漿中から引き出されたことになりますので、血漿中にカリウムが補充されない場合には低カリウム血症の症状が出始めることになりますが、それ以前の段階では全身的に過興奮の漸減に伴う"すっきり感"を感ずることが出来ると思います。
暑い季節やスポーツを楽しむ際には大量の汗をかいて脱水症状に陥らないように注意を喚起されることが多いのですが、脱水による循環血液量の減少の他に血漿中のカリウム濃度の減少にも注意する必要が有りますし、その延長線上に意識の喪失などの熱中症の症状が出てくるものと思われます。サウナ入浴時や運動時に発汗量が500 ml以上になる場合にはご注意下さい。
Q:両電極間で神経束を糸で結紮しましたが、標本の反応は挫砕前と同じでした。実験には失敗したのでしょうか。質問3:プリューガーの収縮の法則について?
→それでは結紮部の中枢側と末梢側の神経束をピンセットで挟んで挫滅してご覧なさい。
→ピンセットで挫滅しても挫砕前と同じように筋は反応します。
→なるほど、ピンセットで挫滅した箇所は結紮部分より2 mm程離れていますね、結紮部分に接近した箇所をピンセットで挫滅して下さい。
→今度はこの表に記載されているように挫砕後の成績が得られました。
Q:どうして実習書にあるような結果がすぐ得られないのでしょうか。
→神経軸索の興奮は一部の損傷部位を飛び越して伝導して行くことが出来ます。このことを興奮伝導の安全率と言います。つまり、結紮部分を超えて末梢側を興奮させることが出来るほどの局所電流が結紮部の中枢側で流れたならば結紮部分を飛び越えて興奮が末梢側に伝導して行くことをあなた方の実験結果が示しています。また、結紮部分の前後4 mm程をピンセットで挫砕した後にはその部分で興奮伝導が遮断されることも示しています。
刺激強度 上行流
閉 開下行流
閉 開備 考 中等度電流
(挫砕前)+ + + + 通電時(閉刺激)に陰極下膜に発生する閾値を超える脱分極によって神経に興奮が発生し、電流遮断時(開刺激)には陽極直下膜での通電時過分極によるNaチャネル不活性化ゲートの開大と過分極電流遮断の両者によって発生する一過性の閾値を超える脱分極で陽極下に興奮が発生した反応。 中等度電流
(挫砕後)- + + - 両電極間で神経束を挫砕した後には挫砕部より末梢側の電極直下で発生した興奮のみが下脚の筋に伝わるので、上行流では電流遮断時の一過性脱分極による興奮のみが筋に伝わり、下行流では通電時に陰極直下で起こる脱分極による興奮のみが筋に伝わった結果の反応。
通常プリューガーの攣縮法則はカエルの下脚坐骨神経標本を用いて観察致します。坐骨神経に与える電流刺激の強度を徐々に強めていくと始めは無反応であった下脚が有る強度の通電時にぴくりと動きます(下表弱電流刺激を参照)。この時の刺激の値を閾値と云います(無反応領域と反応領域の境目、すなわち敷居に相当する刺激強度の値の意味)。さらに刺激強度を強めていくと下脚の反応は通電時と電流遮断時の両方に見られるようになります(中等度電流刺激)。さらに刺激強度を強めていくと上行流刺激(抹消側から中枢側に向かって電流を流す)では開放時のみに、下行流刺激では閉鎖時のみに下脚に反応が現れます(強電流刺激)。これらの現象は、現段階では備考欄のように説明されます。
刺激強度 上行流
閉 開下行流
閉 開備 考 弱電流
(閾値~)+ - + - 上行流・下行流共に通電時(閉刺激)に陰極下膜に発生する閾値を超える脱分極によって神経に興奮が発生し、その興奮が筋に伝わった反応。 中等度電流 + + + + 陰極下膜での興奮の発生機序は上記と同様。電流遮断時(開刺激)の興奮は、陽極直下膜での通電時過分極によるNaチャネル不活性化ゲートの開大と過分極電流遮断の両者によって発生する一過性の閾値を超える脱分極で陽極下に興奮が発生した反応。この段階では、興奮時に流れる局所電流の値が通電時の陽極直下および電流遮断時の陰極直下で起こる興奮性の低下(閾値の上昇)を凌駕する大きさであると推定される。 強電流 - + + - 上行流通電時に陰極下で発生した興奮が陽極直下で遮断されるのは、興奮時に流れる局所電流による脱分極では閾値を超えることが出来ないほどに陽極下膜が過分極しているため。
下行流電流遮断時に陽極下で発生した興奮の伝導が陰極下膜で遮断される理由は、通電時に陰極直下で興奮が発生しその後陰極抑圧(不活性化ゲートの閉鎖)となった状態から静止状態まで回復する以前の時期(相対不応期)に興奮が伝導して来るので興奮伝導に必要な大きさの局所電流が陰極直下膜では流れないため。
Q:刺激電圧を0に設定してもスイッチを閉じた場合に筋収縮が見られるのはどうしてですか?
→その場合、スイッチを解放した状態で刺激電極間の電圧が0になっているかどうかを調べましょう。刺激用の不分極電極とリンゲル液との間の接触電位差が二つの電極で等しければ電極間電位差は0になりますが、そうで無い場合にはその差の電圧が表示されます。この電圧が閾値を超える値であればスイッチ閉時に筋は収縮しますので、両電極のリード線間に10 KΩ程度の抵抗を接続してスイッチ解放時の電極間電位差を閾値以下の値になっているのを確認してから実験を再開して下さい。
質問2:不感蒸泄(不感蒸散)って何?
→Sanctorius(1614)は何もしなくても体重がわずかに減少することを見て、水と炭酸ガスが酸素の入る量より常に多く出るためと考えた。この水分の蒸発は発汗ではなく、皮膚および肺から絶えず行われる。Benedict(1865アメリカ生まれ、医師)らによれば、基礎代謝の状態で1日に1リットル近くの水分がこれにより失われ、身体発生熱の25%が失われると云う。この値は、周囲の温度および湿度によって変化する。
・不感蒸散:裸の人では、室温約29度より発汗が始まり、それ以下の温度では不感蒸散によって蒸発が行われる。従って、室温29度以下で人体から蒸散および呼吸によって排出される水分量を測定すれば不感蒸散の量を測定することが出来る。
→腓返り(こむらがえり)、水中毒、痙攣(硬直性痙攣と間代性痙攣)、など
・腓返り:激甚な疼痛を伴う局所性痙攣(クランピーKranpie(独)と言う)、腓腹筋痙攣の例が多い(同義語に用いられている位である)。強直性の痙攣で、原因は過労である。登山、水泳、行軍など、また職業性神経症として舞踏家、ミシン工などに起こりやすい。「治療」局所性刺激状態を治療または除去し、過労した筋を庇護(サポーターなどにより)する。電気療法も有効である。
・水中毒:水を多飲して排泄と摂取の平衡が崩れると、不安、眩暈、頭痛、吐き気、嘔吐、下痢、痙攣、アタキシー、昏睡などの症状を呈し、甚だしい場合には死に至る。腎臓が健康な限り重症を呈しないが、慢性腎炎、脳炎後多飲、尿崩症などに見られることがある。血液が希釈され、血漿蛋白、粘度、電気伝導度、Na, K, Clなども塩類も減少する。
・痙攣:全身の筋または筋群の発作性収縮を云う。強直性または緊張性のものと間代性のものとある。前者では筋が一斉に収縮し、伸筋の張力が勝るために四肢を伸ばし、頸、背を後ろに反らす。後者の間代性痙攣は、拮抗筋が代わる代わる収縮する型である。中枢神経系の異常(てんかん、脳腫瘍、ヒステリー)、伝染病、各種の中毒、内分泌異常などにおいて見られる。