血圧の測定方法の体得と、血圧を変化させる要因(運動、温寒、体位変換、深呼吸)がどのように血圧を変化させるかを調べ、その機序を考察する。
*事前に事べておくこと
1.電気回路に関してオームの法則とは何か? 文章で説明せよ。電池の起電力E、電気抵抗R、電流Tの間にどのような関係があるか? また、電気抵抗Rの物体に電涜Tを凍すと、抵抗の両端に発生する電圧降下Xの大きさはどのように表されるか?
2.血液は体内をどのように循環しているか? 動脈、毛細血管、静脈、心旅、右心房、右心室、左心房、左心室、肺、肺動脈、肺静脈の語句を使って文章を作りなさい。
3.電流を血液に対応させると起電力は何に相当し、電気抵抗は何に相当するか?
4.心膜は心臓をどのように包んでいるか? 図示せよ?
5.心臓の4個の弁は心臓の線維性骨格(弁膜)という結合組織によって結びつけられほぼ同一平面上にある。この組織は心房筋組織と心室筋組織を完全に分離している。この結合組織の存在理由を説明せよ。
6.最高血圧を決定する主な要素を述べよ。
7.最低血圧を決定する主な要素を述べよ.
8.胎児は頭部が発達し、下半身は成長が遅れる理由を循環経路の違い、特に心臓を中心に述べよ。
9.血液量が増大すると血圧はどうなるか。
1 0. 動脈と静脈の構造上の差異を述べよ。
*血圧の測定
1)聴診法
A. Riva-Rocci型血圧計:血圧計のフタを開いて立て、 Manschetteを接続する。ゴム球の栓をゆるめ、F水銀止めのコックを開くと水銀は落下してゼロ点を指す。被験者は腕をほぼ心臓と同じ高さに置き、完全に脱力させる。検者は被鼓者の右上腕中央にManschetteを巻く。巻き方は、その下縁が肘寓より3 cm位上にくるようにし、ゆる過ぎず、きつ過ぎず、指一本入る程度にする。検者は上腕動脈の拍動を指で捕らえ、その部位に聴診器を当てて拍動を聞く。
検者は上腕動脈の拍動を指で捕らえ、その部位に聴診器を当てて拍動を聴く。ついで血圧計に附属したゴム球でManschette へ空気を徐々に送って、聴診音が聞こえなくなる点を確認する。
圧力がこの点より 20-30 mmHg 位上になるように、さらに空気を送り続ける。水銀止めのコックを少し緩めて、水銀柱の頂点をゆっくり下げる。下げる速さは、一拍毎に約 2 mmHg とする。徐々に下げていくと、最初かすかに澄んだ跳ねるような音が聞こえてくる。この点をSwanの第1点と呼び、最大血圧の値とする。その他のSwanの点については図を参照すること。Swanの第5点をわが国では最小血圧としている。
『注意』聴診器を強く押し付け過ぎると、動脈が歪み、それが原因で血管音が発生し、実際の血圧より低い値が得られる。
B デジタル血圧計: Riva-Rocci型血圧計のManschetteを右腕の上腕に取り付けたまま、デジタル血圧計のManschetteを左腕の上腕に、説明書に従って巻く。附属のゴム球で空気をピー音がするまで送り続ける。後は、自動的に最高血圧、最低血圧、脈拍がデジタル表示される。
問1 Riva-Rocci型血圧計の測定値とデジタル血圧計の測定値を比較せよ。
2)触診法
橈骨動脈の拍動を第2、第3、第4指でとらえたならば、血圧計のゴム球を押して、 Manschetteへ徐々に空気を送り込む。拍動を感じなくなった点の圧をaとし、さらに圧を20 mmHg高くする。その点より徐々に圧を下げていき、再び脈拍が触れ始める点の圧をbとして、最大血圧を最大血圧= ( a + b ) /2の式から求める。
3)体位変換による血圧の変動(仰臥位、立位、蹲踞)
約10分間の安静仰臥位を取った後、 1分毎に血圧と心拍数を数回測定する。次いで床上に起立させて、その直後から2分間は30秒毎に、その後10分間は1分毎に血圧と心拍数を測定する。蹲踞(うずくまる)の姿勢についても同様な時間系列で測定する。
4)温度と血圧
約10分間の安静仰臥位を取った後、 1分毎に血圧と心拍数を数回測定する。そのままの体位で測定側と反対上肢の前腕部を肘関節上部まで約0℃の冷水(氷と水の混ざったもの)に浸す。冷水負荷直後から1分毎に3分間測定を続ける。その後上腕部を冷水から出し、水分をよく拭き取った後、 2分毎に血圧と心拍数を測定し、安静時の血圧に戻るまで測定を続ける。温水(43℃ぐらいの熱めの風呂に相当する温度に調節する)についても同様の時間系列で実験をする。
5)運動と血圧
約10分間の安静仰臥位を取った後、 1分毎に血圧と心拍数を数回測定する。階段を1階まで下り、できるだけ速く駆け登った後、仰臥位を取って1分毎に血圧と心拍数を5分間測定する。
6)呼吸と血圧
約10分間の安静仰臥位を取った後、 1分毎に血圧と心拍数を数回測定する。深呼吸を5回線り返し、深く吸気した後息を止めて力む。このときおよび30秒と1分後の血圧と心拍数を測定する。
以上のデータをグラフに描き表しなさい。
問1 聴診器を用いて最高血圧を測定できるのはなぜか?
問2 聴診器を用いて最低血圧を測定できるのはなぜか?
問3 血圧計の水銀の代わりに水を用いると、どのような血圧計になるか。
問4 片側の腕への冷温度刺激によって、対側の血圧が上がるのは何故か?
問5 運動と血圧の関係を生理学的に説明しなさい。
問6 温度変化が反射的に血圧変動を起こす神経機構を説明せよ。
問7 血圧を調節するための心臓反射を列挙して説明しなさい。1)ベインブリッジ反射、2)大動脈神経反射・頸動脈洞神経反射(圧受容器反射)、3)頸動脈小体反射(化学受容器)、4)感覚神経反射(眼球刺激→Aschnerの反射、痛覚刺激など)、5)呼吸性不整脈
問8 平均血圧、脈拍、血圧の正常値について述べなさい。
問9 血圧の変動を検出する生体機構について述べよ。
・血圧調節・心臓反射
・血圧変化→大動脈と頸動脈洞の圧受容器→自律神経性の血管運動反射
・ベーンブリッジ反射:心房壁の伸展↑→心拍数↑→心房壁の伸展↓
・大動脈神経反射と頸動脈洞神経反射
・頸動脈小体反射:PCO2 ↑or PO2↓→脈拍数↑
・アシュネル反射:角膜の刺激→心拍数↓
・呼吸性不整脈:吸息→心拍数↑、呼息→心拍数↓