岩手の風土記シリーズ(10) 不動の滝
国道282号線を北上し、安比高原を超えると八幡平市安代地区に入る。赤坂田を抜けて荒屋新町に入る手前に突然巨大な赤い鳥居が見えてくる。これが岩手県で唯一日本の滝百選に選ばれている「不動の滝」の入り口である。今回はこの不動の滝と、ご近所にあるお薦めのお店等を紹介しよう。国道282号から先ほどの大鳥居を4km近く進んだ所に桜松神社がある。桜松神社は、その昔老夫婦が水汲みに川の 【国道282号線沿いの大鳥居】
上流まで来ると桜の花が咲いている松をみつけた。不思議に思い上流まで進むと川底にきれいな姫が写って見え、さらに進むと今度は滝が見えた。おじいさんは滝の荘厳な力強さに不動明王の姿を、おばあさんは白糸を織る姫の姿を感じて、不動明王と瀬織津姫(せおりつひめ)を祀ったといわれる。この古事にちなんで「桜松神社」、「不動の滝」と呼ばれるようになった。尚、瀬織津姫をご神体としている最北端の神社のようだ。
【縁結びの木】 【不動堂】 【ヘビの祠】
樹齢二百年を越える杉や松が生い茂る参道を進むと、一帯は広い桜松神社の境内。2本の木が仲良く結びついた「縁結びの木」は、結び文で願い事がかなうと伝えられている。また、近くには石に積もった雪の解け方で豊凶を占う「三つの供石」がある。桜松神社の前にある古い山門。天井や壁には古いお札や豊作や健康を祈願する絵馬が多数奉納されており、盛んだった不動信仰を今に伝えている。この境内をさらに進むと不動の滝が見えてくる。古くは修験者の道場で、1934年には滝の左岸に石彫の不動明王像が安置された。周囲の静かな空気を震わせ、高さ15mの滝が飛沫を 【不動の滝全景】
【滝壺に浮かぶ龍の化神】 【朱色の橋から望む滝】
上げて垂直に流れ落ちるさまは圧巻である。また滝壺からにょっきりと顔を出している枯れ木は、まさに竜神を表しているように感じたのは筆者だけであろうか。
また滝つぼの手前に架かっている朱色の橋は絶好のビュースポットとなっている。
2018年のJR東日本「いくぜ 東北縁結び編」のCMで、女優の松岡茉優さんがロケを行ったのは、まさにこの橋なのである。滝つぼの手前にはヘビが祭られていた。ヘビは金運をもたらすとして縁起がよい 【龍神が祀られている洞窟】
とされているが、参道入り口付近では、春先には本物のヘビが顔を出すことがしばしあるので要注意、取材時にも小生の足元をススッと通り抜けていったし、あとからきた若い女性グループからの嬌声が響き渡ったのは言うまでもない。ただしこの場ではヘビは神聖な生き物となっているので、くれぐれもそっと見守ってあげてください。
さて次は、お薦めのお店を紹介しよう。まずは鳥居のすぐ近くにの「麹屋 もとみや」である。本店は少し北上した荒屋新町にあるが、食堂も完備した店舗となっている。味噌屋だけあって味噌ラーメンは人気らしい。また味噌ソフトもほんのりと味噌の香りがする一品である。またここで販売するみそ大根は人気商品でIBCテレビのわが町バンザイという番組でも紹介されていた。ただし販売時期が限られているので要注意。 【麹屋 もとみや】
次は「もとみや」から少し南下したところにある「ふうせつ花」である。ここは手作り豆腐の専門店で使う大豆の種類(黒豆、茶豆、緑豆、黄豆)によって風味が異なる4種類の「ざる豆腐」を販売している。我が家では緑豆を使ったものが好評である。そのほか食べ応えのある汲み上げ湯葉や豆乳ドーナツや豆腐入りソフトクリーム等のスイーツも販売して
いるので、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?そのほか季節が良ければ282号線沿いにいくつかの産直があり、季節ごとの野菜や山菜、キノコなどを見て回るのも楽しみの一つとなっている。 【ふうせつ花 本店】
冬のこの時期は、雪が多いのと、産直も閉まっているので、も少し暖かくなってから、隠れたパワースポットを訪れてみてはいかがですか?不動明王の力強さを体感しつつ、もしかするとロマンスの神様が降臨してくるかも・・・・