岩手の風土記シリーズ(2)

 

ケセン語を使ったショッピングモール

 

意外と思うかもしれませんが、岩手県民はアテルイ(阿弖流為)の時代から、独立志向が強い民族であったと推察されます(全くの私見)。大槌にあった「吉里吉里国」がその代表ではないでしょうか?実は筆者の生まれ故郷である岩手県沿岸南部の気仙地方も気仙国という自称独立国家を営んでいたという噂があります。その母国語が「ケセン語」といわれ、提唱者である、山浦玄嗣氏によって聖書をケセン語に翻訳したものを、ローマ法王に献上したという実話もあります。

今回は筆者のネイティブ言語である、ケセン語にまつわる話題を提供します。

 

陸前高田の「abasse TAKATA

2011年の大震災の後、嵩上げされた場所に新たに作られたショッピングモール「abasse TAKATA」、私立図書館をメインに、地元のスーパーやドラッグストアのチェーン店等型店舗が中心を固め、その周りを様々な飲食店が軒を連ねています。陸前高田で唯一の寿司店である「鶴亀寿司」も最近店舗を構えました。そのほかにも最近テレビで紹介されたそば屋や、地元で愛されている担々麺のお店などもあります。

この「abasse」はどこか外国語の響きがありますが、もとはケセン語の一つです。「買い物にあばっせ」、「ご飯食べにあばっせ」という風に使われています。「あべ(さあ行こう)」の丁寧語にあたり「一緒に行きましょう!」という意味です。

陸前高田市民のアバッセが集まる施設という意味を持っているそうです。さらにロゴデザインにある蝶と花は、「蝶々が集まる花のような施設になる」というコンセプトで描かれています。皆さんも、陸前高田にあばっせ!

 

大船渡の「KYASSEN 大船渡」

やはり大震災の津波で被災した、旧JR大船渡駅を中心に新しくできたショッピングモールが「KYASSEN 大船渡」です。この「KYASSEN」も異国情緒を醸し出していると思いますが、りっぱなケセン語です。「こっちさきゃっせん!」、「おらほのえさ(我が家に)きゃっせん!」という使い方をします。「こー(来て)」の丁寧語にあたり、「お越しください、いらっしゃい」という意味になります。この「KYASSEN 大船渡」は「100年後の大船渡人に引き継ぐマチ文化」というコンセプトのもと、まちづくり方針の中心に位置するとの事である(大船渡街づくり方針から抜粋)。

このショッピングモールは3つの区画からなり、地元スーパーを中心としたショッピングセンター区画と、カフェや書店を中心としたモール&パティオ、そして飲食店を中心としたフードヴィレッジからなっています。大船渡に行ったら是非立寄ってみてはいかがですか?市民の「きゃっせん(いらっしゃい)」という声が聞こえるかもしれませんよ。また、

大船渡といえば海産物の街です、名物サンマラーメンが皆さんを待っています。

 

(次回は八幡平市平笠地区の「平笠裸参り」を予定しています)